自分の魂に対しての礼儀。

「自分を美しく躾けておくことは自分の魂に対しての一番の礼義です」

もう何年も前のことです。洗顔洗心塾終了後の会場の片隅で、ふと今野先生の言葉が耳に響きました。先生はサインを済ませたご著書を受講された方に差し出して、そう仰ったのでした。
日常の会話やさりげない言葉の中に大切な気づきとなるメッセージが含まれていることがありますが、わたしにとってそれがその瞬間でした。
溢れる情報やスピード、絶え間ない変化を求められる日常。そんな生活のなかで迷い、混乱し、本来の自分を見失い、元に戻ってはまた見失しなう。厚い雲の上には陽が輝いていることに気づかなくなっていた時でした。
 
それから数年経ったある時、「愛ちゃん古事記を学びにいらっしゃ〜い」と今野先生からお声を掛けていただきました。都合すぐに参加させていただくことはできませんでしたが、この春から皆さんと学ばせていただいています。
ご存知の通り古事記は日本最古の書物ですが、そこには今野先生の仰る通り、わたしたち現代人が生きるためのヒントがたくさん詰まっていました。ヒトとしてわたしたちはどうあれば良いのか、人生のその時々で何を選び、どう進んで行くのがより良いのか。その指針は本質的に今も昔も変わらないのかもしれません。
人生には嬉しいこと、つらいこと、様々な出来事が起こります。その度、内面は風を受けた湖面のように波立ち、積み上げた石ころのように脆く崩れやすく、本来の自分を見失ってしまうこともしばしばです。けれど、たとえ見失っても、またすぐに本来の自分に戻って来られる、そのための学びが古事記にはあるように感じます。
エステを通してお客様のお肌に触れさせていただくということは、技術的な事柄だけではありません。お客様とかけがえのない時間を共有し、深いところを感じ取らせていただく。それには自分の内面を調えておかなければなりません。ただでさえ感情に振り回され、飲み込まれやすい自分です。一朝一夕に調えることはできませんが、努めて行きたいと思いますし、それが自分の魂に対する礼儀のひとつなのだと、ふと気づいた今日でした。